ベトナムにおける外国人の個人所得税の取り扱い

2026年02月25日 作成

M&Aやクロスボーダー投資の現場では、スキーム設計やバリュエーションだけでなく、経営者・駐在員・出向者にかかる個人所得税の取り扱いが、想定外のコストや税務リスクにつながるケースが少なくありません。特にベトナムでは、居住者・非居住者の判定基準や全世界所得課税の考え方が日本と大きく異なり、実務上の対応を誤ると税務調査で指摘を受ける可能性があります。

本記事では、ベトナムにおける外国人の個人所得税(PIT)の基本的な計算方法、居住者・非居住者の判定基準をご紹介します。

個人所得税(PIT)の計算方法

居住者

個人所得税の納付額 = (総所得 – 非課税所得 – 各種控除額)× 税率

税率は5段の表に基づき、累進課税で計算されます。

各種控除:基礎控除(1人あたり 15,500,000 VND)、扶養控除(1人あたり 6,200,000 VND)、強制の社会保険(※1)、健康保険、失業保険への拠出額
(※1)日本で継続加入している社会保険も対象とされます。

非居住者

• 個人所得税の納付額 = ベトナム国内発生所得の総額 × 20%
課税時期: 個人の所得が発生する都度、算出される。
課税対象所得: 支払地にかかわらず、ベトナム国内で発生したすべての所得を含む。
• ベトナム国内所得を分離できない場合の計算方法:

・ベトナムに滞在していない期間:
ベトナム国内発生所得の総額 = ベトナム業務に従事した労働日数 / 年間の総労働日数 * 全世界での所得(税引前)+ ベトナム国内で発生したその他の課税所得(税引前)

・ベトナムに滞在している期間:
ベトナム国内発生所得の総額 = ベトナム滞在日数 / 365日 * 全世界での所得(税引前)+ ベトナム国内で発生したその他の課税所得(税引前)

注意:日本でしか所得をもらっていなく、ベトナム法人とも雇用契約を結んでいない場合でも、全世界所得の日割り(ベトナム滞在日数)で払わなければならないルールとなっています。実務上、払わない人が多いですが、法定代表者はERCと名乗るので、税務調査で指摘される可能性があります。

居住者・非居住者の判定

税務上の判定期間は以下で定義されています。

いずれかに該当する個人は居住者と判定されます。

暦年内(1月1日〜12月31日)、または入国初日から連続する12ヶ月間に、ベトナム国内に183日以上滞在していること。

・ベトナム国内に「常住地(住所)」を有すること。

・ベトナム国内に居住用の賃貸物件を有し、当該課税年度における賃貸借契約期間の合計が183日以上であること。

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